2016.01.13
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【発言】と【発表】の違い

京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎

今年もよろしくお願いします。新年1発目の記事です。

 

12月に入り、新任の先生方の所見の添削をおこなっていると、

「授業中のひらめきがよく、◯◯くんの発言で~」

「みんなの前で発表することを~」

といった「発言」「発表」という2つの言葉がよくでてきました。

添削をしながら、この違いは何なのかよくわからなくなりました。

私はこれまで「発言」と「発表」について特に意識することなく使っていました。

どのような違いがあるのか、みなさんわかりますか?

改めて「発言」「発表」について調べ、自分なりの解釈を今回書いてみました。

 

発言と発表

大前提としてある考えが、「発言」と「発表」が全く別のものではないということです。

「発話」という言葉もありますが、重なり合っている部分も多い、ベン図(オイラー図)のような感覚があります。

 

まずは辞書で調べてみることにしました。

【発言】・・・言葉を出すこと。意見をいうこと。また,その言葉や意見

【発表】・・・世間へ表向きに知らせること。広く知らせること。

内部にあったものが,外へ向けてあらわれること。

(大辞林 第三版より)

さらにそれぞれの漢字をみてみると

【発言】・・・言を発する

【発表】・・・表を発する

つまり

【発言】・・・言葉を発する

【発表】・・・表現物を発する

 

職員会議や研究授業の協議会では、「発言してください」と司会の方が言われるときがあります。「発表してください」とはあまり言われません。職員会議や研究授業の協議会ではリアルタイムの話題をもとに話し合いをするからではないでしょうか。

さらに、「発言」と「発表」を具体的な授業場面で考えてみると、

算数では

自分の考えをノートに表現したうえで、考えをみんなに話をすることは「発表」

発表に対しての質問やつぶやきや反応や賛成、反対、付け足しなどは、「発言」。

国語の物語文の学習では

初発の感想を子供たちに書かせたりしますが、その場で急に言わせると「発言」。

感想をノートなどに書かせたりしてから感想を話させるのは「発表」。

ディベートや討論などでは

事前に用意していたことを話すことは「発表」

その場で反論したりするための話などは「発言」

 

朝の会などで行うスピーチは「発表」

 

以上のことから

【発言】・・・話題や相手の話からその場で思いついた言葉、つぶやき、思考しながら話をすること

【発表】・・・自分の考えを整理したり、まとめたりするなど話をするための表現物(ノート、原稿、◯◯新聞など)を準備したうえで、人前 

       で話をすること

ではないかなと考えました。

 

2つにわけることに無理があるかもしれません。しかし、それぞれの用語を意識しておくことは大切なことです。

算数科では「数」と「数字」という用語がありますが、全く同一のものではありません。「定規」と「ものさし」も違います。文章題や先生の話のなかで、用語を正しく使えていないことがあります。そんな些細なことかもしれませんが、意識しておくということは大切なことです。

【発言】と【発表】、子どもはどっちを苦手としているのでしょうか。

私は【発言】だと思います。(詳しくは次々回にて)

 

次回に続く

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)

京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。

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